2008 Fiscal Year Annual Research Report
対外認識育成をはかる外国史教育の内容構成原理に関する日独比較研究
Project/Area Number |
20730557
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
佐藤 公 Musashino University, 文学部, 准教授 (90323229)
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Keywords | 教育学 / 社会科 / 歴史教育 / 外国史 / ドイツ / 社会史 / 文化史 / 普遍史 |
Research Abstract |
本研究は、対外認識育成をはかる外国史教育の内容構成原理を明らかにするため、地域性(日本とドイツ)と研究分野(歴史学と歴史教育学)という二つの比較の視点を設定し、当時の研究者が有した思想的関連を横断的に捉える構造を有している。平成20年度は、主にドイツにおける歴史学・歴史教育学領域に関して、現地調査やインターネットによる史資料の収集と分析を進めることを目的とした。本年度の研究成果は、以下の四点にまとめられる。第一に、ドイツ歴史学説史研究に関し、ライプチヒ大学(Universitat Leipzig)において、調査研究活動を行った。具体的には、同大学に「文化史・普遍史研究所」を設立したカール・ランプレヒト(Karl Lamprecht)が提唱した「文化史」概念に関して、考察対象時期に刊行された文献史料や先行研究に関する史資料を検索、調査、収集した。第二に、ドイツ歴史教育学に関して、歴史教科書や教材等、歴史教育実践に関する基本文献を、ライプチヒ大学、およびフランクフルト・ブックフェアー(Frankfurt Book Fair)において、調査・資料収集および内容検討を行った。そして第三に、以上の研究活動成果の一部として、ドイツでの歴史学と歴史教育の関係を、新しい歴史学説としての「社会史」の成立とその特徴、そして歴史教育内容構成への影響という観点から考察し論文にまとめた。論文では、歴史的視点と史資料の拡大をもたらした「社会史」が、歴史教育の場においては学習方法としても有効性をもちえたとの結論を得た。第四に、日本の歴史学研究における「文化史」概念に関して、考察対象時期に活躍した三浦新七や齋藤斐章が論じた、歴史学説史・歴史教育史研究に関する史資料の収集及び分析に向けて準備調査を行った。
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