2009 Fiscal Year Annual Research Report
戦後歴史教育におけるナショナル・アイデンティティ形成論に関する研究
Project/Area Number |
20730560
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
角田 将士 Ritsumeikan University, 産業社会学部, 准教授 (70432698)
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Keywords | 戦後 / 歴史教育 / 教科書 / ナショナル・アイデンティティ |
Research Abstract |
なぜわが国においては「社会認識を通して市民的資質を育成する」教科としての社会科の機能と目的を達成するための「手段」として,歴史教育が位置付けられてこなかったのか。それにもかかわらず,なぜ今日においても,歴史教育は教育課程上に確固たる地位を占め続けているのか。本研究はこの問いに対して「ナショナル・アイデンティティ形成」,「集合的記憶(国民的統合の物語)の創出と忘却」を視点として仮説的に設定しアプローチしていこうとするものである。わが国の戦後歴史教育において,戦前の歴史教育に見られた国民的統合の物語の創出と忘却の機能はいかなる論理によって維持されてきたのか。本研究は,各期の学習指導要領及びそれらに基づいて執筆された教科書の分析から,その問いの解明を試みようとするものであった。 平成21年度については,以下のような形で研究を遂行した。(1)平成21年3月から8月・・・第II-VII期教科書の分析収集した教科書を分析・検討した。分析は,帰納的に行うのではなく,各時期の指導要領が形成しようとする歴史認識の特徴が明確になるように,共通の単元を設定し,戦前の歴史教科書分析,第1期の教科書分析から明らかになったナショナル・アイデンティティ形成のストラテジーを視点に演繹的に分析した。(2)平成21年9月から平成22年3月・・・分析結果の総合・研究成果の発信これまでの分析結果を総合し,戦後各期の特徴とナショナル・アイデンティティ形成のストラテジーを明確にし,各期の特殊性と戦後に一貫する共通性を抽出した。研究成果の一部を全国社会科教育学会第58回全国研究大会(弘前大学,10月)において報告し批判を得た。また,学術的な評価を得るとともに社会に向けて広く発信するため,学術論文の形にまとめ,学会誌へ投稿するための準備を行った。
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Research Products
(4 results)