2009 Fiscal Year Annual Research Report
科学的根拠に基づくADHD児のための自立活動教材の開発と支援方法の探究
Project/Area Number |
20730564
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
勝二 博亮 Ibaraki University, 教育学部, 准教授 (30302318)
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Keywords | 書字障害 / ADHD / LD / アセスメント / Evidence-based Education / 脳科学 |
Research Abstract |
本研究では,通常の学級に在籍している学習障害(LD)や注意欠如多動性障害(ADHD)等の発達障害児への支援について実験的・実践的な検証を行い,科学的根拠にもとづいた自立活動教材の開発を目的としている。上記の目的を達成するために,平成21年度においては引き続き通級指導教室の対象となるADHDの児童に対して,漢字書字支援を実施した。対象児童は細かい部分に注意が向かず,微細な漢字書字の誤りが多いケースであった。そのような児童に認知プロフィールに基づく支援を実施し,これまで誤っていた書字漢字について正しく書けるように改善された。さらに,教師に頼らずとも自らの力で学習ができるような教材開発を試み,その方法でも漢字書字が改善されることを確認した。文章読解との関連では,基礎研究として脳血流計測装置を用いて,様々な表記形態が異なる文章を音読する際のワーキングメモリーに関わる脳活動について健常者を対象として検討した。その結果,漢字仮名交じり文で文節間にスペースがある文章や平仮名文で文節区切りのスペースがないような文章といった比較的なじみのない表記形態を音読する際には,背外側前頭前野の脳活動が顕著に増加することが明らかとなった。なお,昨年度報告したADHD症状を示す児童に対する所見については,一部のデータについて論文として発表した。また,これまでの発達障害児に対する取り組みから支援方法の原理原則をまとめたものを分担執筆で著書としてまとめた。
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