2009 Fiscal Year Annual Research Report
重障児の療育支援における脳機能マッピングを利用した即時評価システムの開発
Project/Area Number |
20730571
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
宮地 弘一郎 Shinshu University, 教育学部, 助教 (40350813)
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Keywords | 重度脳障害 / 生理心理学 / 近赤外分光法(NIRS) / 日常的応答性 / 心拍モニタリング |
Research Abstract |
本年度(二年度)は,前年度において収集した対象事例の脳機能障害実態および応答性に関する資料にもとづく発達支援と,その効果についての評価を行った.まず,前年度に行った近赤外分光(NIRS)測定および心拍測定において,視覚刺激に対する応答が不明瞭であった重障事例A(14歳・男性)を対象として,日常場面における視覚的注意の発達支援を試みた.具体的指導方法としては,前年度測定において明瞭な応答が確認された聴覚刺激,触刺激を手がかりとし,期待反応形成のアプローチを活用した複合的働きかけを,事例Aの療育担当者の協力のもと日常的なかかわりの中で継続的に実施した.その指導効果については,前年度において測定の妥当性が確認されたワイヤレス心拍計による日常場面モニタリングを活用し,定期的に評価した.その結果,指導の経過に伴い,視覚刺激に対する能動的加速反応の増加が認められた.事例Aの発達的変化はまた,NIRS測定が,能動的応答性の評価に有効であることを示すものであった. さらに本年度は,今後に向けた基礎的検討として,NIRSによる皮質ヘモグロビン変化と,能動的・受動的注意との関連性について,NIRSと脳波および心拍の同時測定から検討した.その結果,NIRSによって,定位反応に関連した感覚皮質の酸素消費反応と,予期・期待に関連した感覚皮質の賦活反応を評価できる可能性が明らかとなった.この結果は,心拍等の各生理指標とNIRSを用いた多面的アプローチによって,重障児の各感覚モダリティに関する日常的応答性の発達をより詳細に評価できることを示すものであり,今後の重障児の能動性獲得支援においての活用が期待される.
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Research Products
(2 results)