2008 Fiscal Year Annual Research Report
自己同型群による不変部分頂点代数の表現の結合的代数を用いた研究
Project/Area Number |
20740002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田邊 顕一朗 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 准教授 (10334038)
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Keywords | 頂点代数 / 多元環 |
Research Abstract |
1986年, Borcherdsは頂点代数の定義を導入するとともに, 複素数体上の可換多元環とその上の導分から頂点代数の例を構成出来ることを指摘した. これは頂点代数の一番簡単な例である. またこの場合に, 多元環としての加群は頂点代数としての加群とみなせることはすぐに分かる. 自然に, 多元環としての加群の圏と頂点代数としての加群の圏はいつ異なるのか, またそのときに, どれくらい違うのかという問題が出てくる. しかし, この問題は非自明なものであるにも関わらず, 一般的な研究はなく, さらに例もほとんど計算されていなかった. 可換多元環とその上の導分から構成される頂点代数に対して, 上の二通りの加群の圏が異なるための簡明な条件を求めること, また頂点代数としての加群を分類することは、一般の頂点代数の加群の考察に対して有効であると考えられる. 特に, 自己同型群で不変な部分頂点代数の加群と, もとの頂点代数のtwisted加群との対応を調べるための例を豊富に与えると考えられる. 私は昨年度, 一変数多項式環の頂点代数としての有限次元加群の研究をおこなった. 今年度はその続きとして, 一変数多項式環に平方因子を持たない多項式の平方根を添加した多元環の,頂点代数としての有限次元加群について研究した. この環はDedekind環になっており, その多元環として有限生成加群の分類はよく知られている. 考察する加群を有限次元なものに制限した上で, 多元環としての加群の圏と頂点代数としての加群の圏が異なるための、導分に関する必要十分条件を求めた. さらに、有限次元直既約加群の分類をおこなった.
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