2011 Fiscal Year Annual Research Report
自己同型群による不変部分頂点代数の表現の結合的代数を用いた研究
Project/Area Number |
20740002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田邊 顕一朗 北海道大学, 大学院・理学研究院, 准教授 (10334038)
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Keywords | 頂点代数 |
Research Abstract |
頂点代数に有限群が作用している状況下で,固定部分頂点代数上の加群を,もとの頂点代数と有限群の情報を用いて記述する問題を研究している.この問題では通常の加群を拡張したtwisted加群が基本的な役割を果たしているが,twisted加群は直和に関して閉じていないことから通常の加群論を展開するには困難が生じていた.特に群が非可換群の場合にこれは本質的な困難となる.私はこの点を改善して,直和で閉じるようにtwisted加群を拡張した.この拡張は自然なものであるが,対応するBorcherds恒等式が非常に複雑となるため,既存の手法の単なる適用ではこれまでに得られている有用な結果の類似を得ることは出来ない.私は,頂点作用素代数の場合にこの拡張されたtwisted加群に対応するZhu代数の類似を構成した.1996年にZhuによって頂点作用素代数に対して導入されたZhu代数は,その既約加群が対応する頂点作用素代数の既約加群と一対一に対応することから,頂点作用素代数の表現論特に既約加群の分類と完全可約性の証明,において重要な役割を果たしてきた.今回構成したZhu代数は,その後のDong-Li-Masonおよび宮本-田邊による拡張を全て含む統一的なものであり,その既約加群は拡張されたtwisted既約加群と一対一に対応している.今回の結果は,twisted加群をより自然に扱えるように加群を拡張したこと,およびZhu代数を構成して拡張した加群の取り扱いを可能にした点で,固定部分頂点代数上の加群の研究において重要である.
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