2009 Fiscal Year Annual Research Report
ログ極小モデル理論の視点からのアフィン代数多様体の構造解析ヘアプローチ
Project/Area Number |
20740004
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
岸本 崇 Saitama University, 理工学研究科, 准教授 (20372576)
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Keywords | ログ極小モデル理論 / アフィン代数多様体 / 群作用付き多様体 |
Research Abstract |
本研究は研究実施計画に従い,フーリエ数学研究所のMikhail Zaidenberg教授との共同研究を実行した。より正確には,「有理的な偏極多様体上のアフィン錐はどのような状況下で非自明な1次元加法群スキームの作用を持つのか?」というアフィン代数幾何学に於ける重要問題にZaidenberg教授とYuri Prokhorov教授(モスクワ大学・ロシア)と共に双有理幾何学的な視点で1つの必要十分条件を与えた。ポイントとなるのは,そのようなアフィン錘は1次元乗法群スキームによる標準的な作用を持つが,これを利用して1次元加法群スキームの作用から斉次的な作用を抜き出して,更にそれを偏極多様体上のある種の幾何学的性質に還元するというものである。この考察方法のメリットは,純粋にアフィン代数幾何学的な可換環論的な問題であったものを,射影幾何学の範疇に収まる問題に置き換えることにある。射影幾何学・双有理幾何学は純粋なアフィン代数幾何学に比較すると強力な理論が存在するので,考察は非常に幾何学的に見通しがよくなる。更にこの考察方法には別の副産物がある。それは3変数多項式環の複雑な自己同型を構成する1つの幾何学的方法を提示するという点にある。2変数までの多項式環の自己同型群の構造は古典的によく知られているが,3変数以上になるとその自己同型群の構造は殆ど解明されていないといってよい状態である。ただし3変数多項式環の場合には2変数までの状況とは違い,tameではない自己同型が存在する二とは近年のShestakov-Umirbaevの有名な結果により知られている。しかしながら散発的にtameでない自己同型を構成するのではなくて,何かしら系統的にtameでない自己同型を構成することが3変数多項式環の自己同型群の構造解析にはより重要であると思われる。Zaidenberg教授とProkhorov教授との共同研究の手法を用いると,重み付き射影平面上のある種の幾何学的性質を満たす線形束からスタートして,3次元アフィン空間上の斉次的な加法群スキーム作用を構成してそこから組織的に3変数多項式環のtameでない自己同型を構成することが出来た。この結果自体は現在論文として執筆中であるが,将来的にはこの手法を更に発展させて4変数多項式環のtameでない自己同型の構成を成功させたいと思っている。
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Research Products
(3 results)