2010 Fiscal Year Annual Research Report
ログ極小モデル理論の視点からのアフィン代数多様体の構造解析へのアプローチ
Project/Area Number |
20740004
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
岸本 崇 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (20372576)
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Keywords | 加法群作用 / 局所冪ゼロ導分 / 双有理幾何学 |
Research Abstract |
平成22年度は:(i)平成21年度にZaidenberg教授(フランス・フーリエ数学研究所)とProkhorov教授(ロシア・モスクワ大学)との共同研究で行った射影代数多様体上のアフィン錐への加法群の作用の存在性に関する研究の進展と,(ii)個人研究としては1990年代にDaigle氏によって得られたいた3変数多項式環上の斉次な局所冪ゼロ導分(h-LND)の特徴付けに関する結果の別証明を得ることに成功した。以下では上記の2つの研究(i),(ii)について詳細に述べる。 まず(i)についてであるが,研究の発端は2003年にZaidenberg氏とFlenner氏の共著論文の中で提唱されていた問題「非特異3次曲面上の(反標準埋め込に関する)アフィン錐には加法群作用は存在するか?」に遡る。この問題は特異点の理論と有理曲線の存在に関する問題とを結びつける非常に深い問題である。(i)の研究では非特異3次曲面だけにとどまらず,一般の正規射影代数曲面とそれ上の非常に豊富な直線束との対を考えて,その非常に豊富な直線束を用いた埋め込みに関するアフィン錐に加法群の作用が存在する為の必要十分条件を得ることに成功した。この加法群作用の存在の判定法をもってしてもZaidenberg-Flennerによるもともとの問題の解決には未だ至っていないが,別方向で問題が発展している。実際,平成23年度以降にはZaidenberg氏とProkhorov氏による共同研究が再スタートする。そこでは,特別なクラスの射影多様体(例えば非特異3次元Fano多様体)上のアフィン錐への加法群スキームの存在を考察する。 一方(ii)の問題については,既存のDaigleによる結果はその証明方法が純代数的であったが,h-LNDは本来幾何学的には特別な加法群作用に対応しているため,この作用の視点から幾何学的にもDaigleの結果の別証明を得ることは可能であろうと思われた。そして実際に,斉次な加法群作用の特性を利用して別証明を得ることに成功した。
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Research Products
(4 results)