2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阿部 健 Kyoto University, 数理解析研究所, 助教 (90362409)
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Keywords | ベクトル束 / モジュライ |
Research Abstract |
代数曲線上のベクトル束のモジュライ空間上には、直線束のモジュライであるピカール群上のテータ因子の類似として、一般テータ因子がある。一般テータ因子に付随する直線束の大域切断は一般テータ函数と呼ばれる。二つの異なるベクトル束のモジュライ上の一般テータ函数の空間が双対になる現象は、strange dualityと呼ばれている。 シンプレクティック束のモジュライ上の一般テータ函数に関するstrange duality予想の解法を目指した本研究者による昨年までの研究は、予想を射影直線上の放物方シンプレクティック束の場合に帰着できる、と言うものであつた。 この続きとして今年度は、射影直線上の放物方シンプレクティック束に対してstrange dualityを証明することを目指した。 幸いなことに、研究実施計画に書いた通りに、一般テータ函数の空間と共型ブロックの対応を用いて問題を表現論の問題として捉え、中西・土屋による一般線形群に対するstrange dualityの証明で用いられた論法を用いることにより、予想を証明することが出来た。大きな証明の方針は中西・土屋と同じであるが、中西・土屋が証明の鍵の部分でブレード群の表現の規約性を用いているのに対し、本研究者はブレード群の作用を用いずに証明しているため、細部は微妙に異なる。 この結果は、7月7日-7月11日にイギリスWarwick大学で開かれたモジュライ理論の研究集会で発表することが出来た。また国内でも、北海道大学、数理解析研究所、で行われた研究集会で発表の機会を得た。この結果をまとめた論文は、International Mathematics Research Noticesに掲載された。 秋に城崎で開かれた代数幾何シンポジュウム、2月に鹿児島大学で開かれた代数・解析・幾何セミナーに参加し、情報収集を行った。
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Research Products
(7 results)