2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阿部 健 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (90362409)
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Keywords | ベクトル束 / モジュライ |
Research Abstract |
昨年に引き続き射影空間上の層のモジュライ上一般テータの双対性であるLePotierのstrange dualityについて研究した。 第1チャーン類が0、第2チャーン類がnとなる射影空間上の階数2ベクトル束のモジュライ上のドナルドソン直線束のd乗の正則オイラー数A(n.d)については、Gottsche・中島・吉岡がNekrasov予想の解決の応用として計算している。LePotierのstrange duality予想が正しければ、第1チャーン類d、正則オイラー数0の射影空間上の1次元層のモジュライ空間上のある(nに依る)直線束の大域切断の次元B(n,d)はA(n,d)に等しくなる。しかしながらB(n,d)の方は未だ計算されていない。d=3の場合はDanilaによってB(n,d)は計算されている。本研究者は本年度、d=4の場合に、一次元層のモジュライの中で大域切断を持つlocusの特異点解消をが射影空間の2点のHilbert空間上の射影空間バンドルになることを用いて、B(n,d)を計算した。この結果を(nが小さい場合に)Gottsche・中島・吉岡のA(n,d)と比較し、等しいことを見た。これはLePotierのstrange duality予想が正しそうであることの状況証拠を与えている。d=4の場合に一般テータの次元が等しいことが分かったので、予想を解決するにはduality写像が単射または全射を言えばよい。代数曲線上のベクトル束のstrange duality予想の解決では、Quotスキーム上で交差理論を考えることにより、duality写像の単射性を導いていた。射影空間上のLePotierのstrange duality予想に関しても同様の手法が適用できないか試行計算を行った。それに関連して、固定されたベクトル束の商である1次元層でいくつかの決められた点を台が通過するもののモジュライについて、それの局所的な様子を調べてみた。
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