2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川ノ上 帆 Kyoto University, 数理解析研究所, 研究員 (50467445)
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Keywords | 代数幾何学 / 特異点の解消 |
Research Abstract |
平成20年度は交付申請書に記した予定に沿う形で特異点解消の研究を進め, 概ね予定通りの成果を得たと考えている. 標語的に書くと, 局所-意化を証明する為の歴史を用いるタイプの不変量の候補を確定させたのが今年度得られた成果である. 以下にその内容を詳述する. 本研究者はかねてより正標数の完全体上の任意次元の代数多様体の特異点解消の解決に向けてイデアリスティック・フィルトレーション・プログラムという計画を提唱し, その研究を進めている. 今年度の研究開始時点でその基礎付けとしての成果は得られており, これを齟齬無く機能する不変量及びアルゴリズムとして結実させることが本研究の目標であった. 特に平成20年度はこのような不変量として歴史を用いる不変量を採用し, 様々な要件を勘案して不変量の形を絞り込むことを目標としていた. 共同研究者の松木謙二氏との議論を経て, 平成19年の11月頃に局所-意化を与えると期待される不変量の構成に成功した. ここで局所-意化とは任意の附値環に沿った特異点解消のことで, 元々の特異点解消の問題を解決する上での重要な中間段階と言える. 「期待される」と些か歯切れが悪いのはまだ細部に検証の不十分な点が残っているからであるが, この細部を詰めて正標数の局所-意化力『証明できればそれ自体代数幾何学的に重要な成果であり, 特異点解消の解決に向けても大きな前進であると考えられる. 上記不変量については, 論文は現時点では鋭意準備中であるが, 数理解析研究所で平成19年度に開催されたワークショップにおいて松木謙二氏と共同で発表した際のOHPが備考欄のURLから入手可能となっている.
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