2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川ノ上 帆 Kyoto University, 数理解析研究所, 助教 (50467445)
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Keywords | 代数幾何学 / 特異点解消 |
Research Abstract |
平成21年度は前年度に引き続き本研究者の提唱したイデアリスティック・フィルトレーション・プログラムの観点から、パーデュー大学の松木謙二氏と共同で特異点解消の研究を進めた。就中平成20年12月に数理解析研究所において開催された国際ワークショップで提示した局所一意化の具体的なアルゴリズムの候補(備考欄のウェブページ参照)について、証明が機能する為の様々な要件の成立の可否を精査した。ここで局所一意化とは特異点解消の弱形であり、任意の付値環に沿った特異点解消を意味する。局所一意化を完成してからアルゴリズムを改良する形で特異点解消を目指すというのが現在の我々のアプローチである。なお申請時の計画においては完備化レベルの対象をザリスキ局所レベルに降下する過程を平成21年度の研究課題と設定していたのだが、この部分はアルゴリズムさえ確定すれば比較的よく知られた議論が適用できる可能性が高く他の細部を詰めることが優先であると判明したこと、実際に具体的アルゴリズムの候補を得たことなどから上記のように研究計画を変更した次第である。平成21年度の研究における肯定的側面での一番の進展は新しく導入した不変量νの良定義性の証明であり、副産物として従来の不変量μの良定義性の証明も簡略化される。不変量レは標数0の時は現れない新しい不変量であり、最近のコサール・ピルタントによる三次元正標数の場合の特異点解消にも類似の概念が現われることからその有用性が期待される。否定的側面での進展としては、現行アルゴリズムの下で点に沿った爆発の前後で不変量μとνが増加する例を構成した。このことは取りも直さずアルゴリズムの更なる修正の必要性を示唆しており、現在他の要件との兼ね合いも考慮しつつ例を調べることによって適切な修正を模索中である。以上が平成21年度の研究実績の概要である。
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