2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
落合 理 大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (90372606)
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Keywords | 高次元モジュラーシンボル / Euler系 / 岩澤理論 / p進L函数 |
Research Abstract |
研究のメインテーマである「変形空間による岩澤理論の一般化」に関連して,特にもっとも典型的な一般化であるヒルベルトモジュラー形式の場合とジーゲルモジュラー形式の場合のプロジェクトを進めた.ヒルベルトモジュラーの場合においては,数年来書き進めていた,ヒルベルトのジュラー多様体上の高次元モジュラーシンボルを用いたp進L函数の論文における細かいけれども大変な計算のいくつかを書き上げることができた.かくして,ようやく学術雑誌へ投稿する段階まで研究の詳細を詰めた.ジーゲルモジュラーの場合においては,Lemma氏と共同で行っている代数群GSp(4)に対するオイラー系の存在性やそれを仮定した場合の応用などのテーマがあり,特に後者について「GSp(4)の肥田変形に対するColeman写像の構成」という問題にとりくみ問題のもっとも本質的なステップを乗り越えることができた,今後は,より詳細だが時間をかけることでほぼ解決できるであろう詳細の部分を詰める段階である.これによってこの場合の3変数のp進L函数の描像が見えてくることと思われる.その他,以前にEuler系の変形空間への一般化を考えたときにあらわれた混標数の可換環論の問題を,以前につけていた正則性という技術的な条件を外すことを下元氏との共同研究で調べている.おおまかには,正規性などの良い条件が与えられた混標数の可換環論を様々な素イデアルで特殊化するときにそれらの良い性質がどれくらい保たれるかという「Bertini型の定理」を研究している.研究でかかげた最初の目標はおおよそ成し遂げることができ,今後の進展が期待される.最初の到達点までを論文としてまとめつつある状況である.
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Research Products
(5 results)