2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740014
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
池田 京司 東京電機大学, 工学部, 准教授 (40397617)
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Keywords | ホッジ構造 / 周期写像 / 3次曲面 |
Research Abstract |
射影空間内の超曲面Xに対し、Xと重複度mで交わる直線全体のなす代数多様体をZと表すとき、Zのホッジ構造の無限小変形を計算するための、ヤコビ環の理論を整備した。これはX自身のホッジ構造の無限小変形を計算するための、Griffithsによるヤコビ環の理論の一般化で凌り、Zのホッジ構造を用いて、超曲面Xの幾何学的性質を記述するための重要な手段となる。実際にこれにより、Zのホッジ構造についての無限小トレリ問題を、次数と次元と重複度mに関するある条件のもとで解決することに成功した。 さらに、研究対象を超曲面Xが3次曲面でm=3の場合に限定するとき、Zのホッジ構造による周期写像を、より詳しく研究した。3次曲面が非特異の場合には、周期写像の単射性が前年度までの研究ですでにわかっていた。3次曲面Xが高々通常2重点のみをもつ場合の周期写像を詳しく研究するため、Xに含まれる直線やXの特異点が、対応する代数曲面Zのホッジ構造にどのように反映されるかを調べた。そしてZのホッジ構造の本質的な部分が、Xに自然に付随するある代数曲線のホッジ構造を用いて、具体的に記述されることを示した。これにより周期写像の単射性も示された。これは周期写像の逆写像を周期領域上の保型関数を用いて記述するための重要なステップとなるが、通常2重点の個数が3個の場合を除いてはまだできていない。この研究は古典的な楕円保型形式の理論の一般化の一つとして意義がある。
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Research Products
(2 results)