Research Abstract |
2次一般斜交群GSp(2)の実一般化Whittaker関数についての研究を継続した。実一般化Whittaker関数は,通常の実Whittaker関数と合わせて,次数2の実解析的ジーゲル保型形式のプーリエ展開のアルキメデス成分を記述するもめである。実一般化Whittaker関数は,定符号の2次形式に伴うものと不定符号の2次形式に伴うものとに分けられるが,今年度は,これまでの研究の蓄積が少ない不定符号の2次形式に伴うものを調べた。 1. GSp(2,R)の大きな離散系列に属する実一般化Whittaker模型の重複度1定理およびその1次元卜ーラスでのBarnes型積分による表示を2006年度までには得ていたが,これを大きな離散系列の「極限」にまで拡張したうえで論文にまとめ学術雑誌に投稿した。この論文には,実解析的ジーゲル保型形式のプーリ工展開に関する基礎事項について証明付きでまとめた。この部分は,既存の文献に見当たらない事柄も含んでおり,当該分野の研究者にとって有益であると信する。 2. GSp(2,R)のBorel部分群から誘導した主系列表現に属する実一般化Whittaker模型についても,その一意性と1次元トーラスでの一般化超幾何関数による表示を得た(石井卓氏との共同研究)。この結果は,実一般化Whittaker模型の一意性がGSD(2,R)の任意の既約許容表現について成立することを期待させる。一方で,GSp(2,R)では無く,Sp(2,R)においては,実一般化Whittaker模型の一意性が崩れるであろうことを観察した。一なお,我々の得た,Barnes型積分による表示式は,不分岐有限素点における実一般化Whittaker関数の明示式(Bump-Friedberg-Furusawa)と合わせることで,本研究課題の主眼である保型的L関数の解析のみならず,Borel部分群から誘導したEisenstein級数の絶対収束域の外での挙動を制御する上で有益であると思われる。
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