2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740019
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高木 俊輔 九州大学, 大学院・数理学研究院, 特任准教授 (40380670)
|
Keywords | 代数幾何学 / 可換環論 / 特異点論 / 乗数イデアル層 |
Research Abstract |
極小モデル理論の観点から藤野修は,non-lcidealと呼ばれる,非対数的標準特異点集合を定めるイデアル層を導入した.このイデアル層は制限定理などの良い性質を満たす一方で,乗数イデアル層の一般化として期待される幾つかの性質を満たさないことも知られている.そこで藤野修・Karl Schwedeとの共同研究において,乗数イデアル層の「極限」をとることによって,非対数的標準特異点集合を定める別のイデアル層を定義した.このイデアル層は,非対数的標準特異点集合を定めるイデアル層の中で「最大」のものになるため,maximal non-lc idealと呼ぶことにする.本研究では,maximal non-lc idealが小平型の消滅定理,Bertini型の定理などの基本的性質を満たすことを確認し,局所完全交叉の場合にmaximal non-lc idealの制限定理を証明した.またmaximal non-lc idealの正標数における類似として,non-F-pure idealと呼ばれる正標数の環上のイデアルを導入し,単項式イデアルに付随するnon-F-pure idealの組み合せ論的特徴付けなど,幾つかの基本的性質を確認した.さらには,局所完全交叉とは限らない正規環に対して,non-F-pure idealの制限定理を証明した.このことから,maximal non-lc idealの制限定理も,局所完全交叉とは限らない正規多様体に対して成り立つことが期待される.
|