2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740022
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
上原 北斗 Tokyo Metropolitan University, 大学院・理工研究科, 准教授 (80378546)
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Keywords | 導来圏 / Torelli型問題 |
Research Abstract |
私の今年度の研究実績は主に次の2つである。 1)極小楕円曲面のフーリエ向井数の数え上げ 私は与えられた極小楕円曲面と導来同値な極小楕円曲面の個数(フーリエ向井数)を与える公式を見つけた。フーリエ向井数の数え上げはある種のアーベル多様体やK3曲面では知られていたが楕円曲面では私の結果が初めてだろう。また私の結果を使えば、川又氏のD-K予想(互いに双有理な射影代数多様体において、K同値であることと道来同値(D同値)であることは同値であろう)の反例も容易に構成できる。 2)双有理Torelliの問題の反例の構成 1)の応用として、ある種の極小楕円曲面のファイバー積をとることにより、小平次元が1であるような次のような3次元極小モデルの組XとYを与えた。 ・XとYは互いに導来同値、変形同値かつホッヂ構造が同じである。 ・XとYは互いに双有理的でない。 このような双有理Torelli型問題の反例は様々な研究者がいろいろな場合に研究していて、たとえば並河良典氏は既約シンプレティック多様体のときにこのような反例をあげることに成功した(ただし並河氏の考えたホッヂ構造はシンプレティック多様体特有の重み2のもので、私の考えたものとは異なる。また並河氏はそれらが互いに導来同値であることは示していない)。またCaldararuとBorisovは3次元カラビヤウ多様体の対で、互いに導来同値だが双有理でない例を発見した。さらにSzendroiは3次元カラビヤウ多様体の対で互いにホッヂ構造が同じだが多様体としては互いに同型でないものを発見し、それらは互いに双有理でもないだろうと予想した。 Bridgelandの結果によると3次元で滑らかな極小モデルの双有理な組は互いに導来同値であることがわかる。私の結果やCaldararu-Borisovの結果はこの逆が成り立たないことを示している点でも興味深い。
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Research Products
(3 results)