2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740031
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
金 英子 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 講師 (80378554)
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Keywords | 写像類群 / トポロジー / 3次元双曲多様体 / 擬アノソフ / dilatation / 双曲体積 / 組ひも / タイヒミュラー空間 |
Research Abstract |
曲面上の写像類群は擬アノソフ型,周期型,可約型の3つのタイプに分類される.この3つのタイプの中で最も一般的であるのが擬アノソフである.擬アノソフ写像類の不変量としてエントロピーがある.曲面Sを固定するときS上の擬アノソフのエントロピー全体には最小値1(S)が存在することが知られている.種数gの閉曲面上のこのような最小エントロピーを1_gとおく.最小エントロピー1_gは漸近的に1/gのように振る舞うことが知られている.Farb-Leininger-Margalitは近年次を示した.「ある有限個の円周上の曲面束が存在し,小さなエントロピーをもつ任意の擬アノソフはこの有限個の中の1つをDehn fillingしてえられる多様体が許容する,あるfibrationのモノドロミーである.」つまり小さなdilatationを持つ擬アノソフを調べるためには,ある有限この多様体のfibrationのモノドロミーを調べればよいというわけである.しかしこの結果からは具体的にどの多様体がこの性質を持つのか不明である.最近の私の研究によって,マジック多様体が上の有限集合に属し,さらに知られている例の中でエントロピーが最も小さく,1(S)を実現する候補の写像類達は,マジック多様体の,あるfibrationのモノドロミーであることがわかった.本年度の実績は以下の通り. (1)1_gの漸近的挙動を明らかにした.これはPennerによる先行研究の精密化である. (2)n個の穴あきトーラスをS_nとする.1(S_n)の漸近的挙動を明らかにした.これはTsaiによる先行研究の精密化である.
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