2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740032
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
小野 肇 Tokyo University of Science, 理工学部, 講師 (70467033)
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Keywords | 佐々木多様体 / AdS / CFT対応 |
Research Abstract |
佐々木多様体における標準計量、特に佐々木・アインシュタイン計量の存在問題は幾何的に重要であるだけでなく、素粒子論(弦理論)における「AdS/CFT対応」の究明においても重要な役割を演じる。本研究は、佐々木・アインシュタイン計量の存在問題を2つの異なるケーラー幾何(横断的ケーラー構造およびケーラー錐構造)を通して研究し、さらに「AdS/CFT対応」の数学的な理解を得ることを目的としている。 本年は逆に「AdS/CFT対応」の研究の中で得られた発想(体積最小化)を拡張し、それを複素幾何の問題に適用することで興味深い結果を得ることが出来た。具体的には下の通りである ; 体積最小化とは佐々木・アインシュタイン計量が存在するための障害の一つ(佐々木・二木不変量)が体積汎関数の第1変分として得られることであった。一方、佐々木多様体は「偏極ケーラー多様体」の一つの一般化と捉えることができる。本研究では佐々木計量の空間上のある(体積汎関数を含む)無限個の関数列の母関数(Hilbert級数)の第1変分が、すでに知られている偏極多様体の「漸近的Chow半安定性」の障害と本質的に一致することを証明した。さらに、トーリックファノ多様体の場合に、対応する扇の組み合わせ論的な情報を用いてHilbert級数の第1変分を実際に計算することで、この障害に関する幾つかの予想を解決した。この手法はある意味「超越的な」方法により代数的対象を調べているという点で大変興味深い結果である。
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Research Products
(4 results)