2010 Fiscal Year Annual Research Report
コンパクトClifford-Klein形の存在問題と変形問題
Project/Area Number |
20740033
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉野 太郎 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (20447890)
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Keywords | Clifford-Klein形 / 位相的ブローアップ / 変形空間 / 非ハウスドルフ空間 / Lipsman予想 |
Research Abstract |
私の研究テーマは、Clifford-Klein形の変形空間を決定することであったが,この空間は多くの場合,非ハウスドルフ空間になってしまうことがこれまでの研究で分かっている.そこで昨年度は,そのような非ハウスドルフ空間の位相を直感的に分かりやすく記述するための手法を模索し確立した.この手法を使うと,一つの非ハウスドルフ空間を,有限個のハウスドルフ空間の組で表すことができ,通常ならばイメージを描きにくい非ハウスドルフ空間を,直感的に理解することができる.ただし,昨年度の時点では,この手法がどのようなクラスの空間に適用できるのかは分かっていなかった. 本年度の研究により,この手法(今は位相的ブローアップと呼んでいる)の適用可能範囲は,次の二条件を満たす空間であると分かった. (i)局所コンパクト(ii)段階的ハウスドル 幸い,Clifford-Klein形の変形空間はこの二条件を満たしており,この手法が適用できる. 一方,ドイツ,オランダでの研究発表の際に,この位相的ブローアップを他の空間の理解に役立てることが出来ないかとの提案をいただいた.例えば,「あるベキ零リー環の表現の分解公式を,この手法によって幾何学的に理解できないか」といったアドバイスや「非リーマン多様体のラドン変換に応用できないか」といったアドバイスである.現在,変形空間の計算と並行して,そのような応用も考察中である.
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