2008 Fiscal Year Annual Research Report
正則円板の族と不定値計量の幾何学に関するツイスター理論の研究
Project/Area Number |
20740034
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中田 文憲 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 流動研究員 (80467034)
|
Keywords | 微分幾何学 / 複素幾何学 / ツイスター理論 / 不定値計量 / 正則円板の族 |
Research Abstract |
今年度は主に以下の二つの成果を得た. 第一はLeBrun-Mason理論に関する成果である. LeBrun-Mason型ツイスター理論については, これまでに二種類の対応が知られていたが, それらに続く第三の理論として, Einstein-Weyl構造に関する同様の理論を構築するべく, 研究を行った. その結果, ある種の正則円板の空間として三次元の不定値Einstein-Weyl空間を構成することに成功し, この結果を論文として発表した. LeBrun-Mason理論は今後さらなる発展が期待されるが, 今回の結果はその一里塚と言えるものである. その後, より強力な結果がLeBrunとMasonによって証明されたが, 私の方法が優れている点も残されている. 具体的には, より詳しい性質を調べる際に有効な具体的手法を用いている点, Einstein-Weyl空間に関する扱いやすい条件を提示している点などである. 第二の成果は本多宣博氏との共同研究による, 特異性を許すツイスター理論の研究の成果である. ここでは, 複素カテゴリーにおけるツイスター対応, 特にEinstein-Weyl構造に関する対応について, 特異性を許す状況へ理論を拡張する研究を行った. その際, 上記研究を通して得られたEinstein-Weyl構造に関する知識が大いに役立った. この研究の結果, 「有理曲線のなすSeveri多様体は, その次元が3であるとき, 常に複素Einstein-Weyl構造を持つ」という非常にすっきりした定理が得られ, この結果をプレプリントとして発表した. この結果は, 特異性を許すツイスター理論の幕開けを示唆するものであり, また, 類似のLeBrun-Mason型ツイスター理論の展開も期待される.
|