2009 Fiscal Year Annual Research Report
正則円板の族と不定値計量の幾何学に関するツイスター理論の研究
Project/Area Number |
20740034
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中田 文憲 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 流動研究員 (80467034)
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Keywords | 微分幾何学 / 複素幾何学 / ツイスター理論 / 不定値計量 / 正則円板の族 / 波動方程式 |
Research Abstract |
これまでのLeBrun-Mason理論やEinstein-Weyl構造に関する研究を継続し,特に簡約理論と関連する大きな進展が得られた.まず,四次元自己双対計量が三次元ドジッター空間上のモノポールから構成できることが知られているが(Tod-鎌田計量),こうして得られる計量はLeBrun-Mason理論の枠組みで扱えることを示し,特にLeBrun-Mason対応における簡約理論の典型的な状況を与えていることを発見した.また,Tod-鎌田計量に対応するツイスター空間や正則円板の族を具体的に書き下すことにも成功した. さらに,上記のツイスター対応を具体的に研究する中で,双曲型偏微分方程式と積分変換に関する重要な結果も得られた.具体的には,上記の対応を書き下すための道具としてRadon変換型の新しい積分変換が自然に定義されこの積分変換を用いることで,三次元ドジツター空間上の波動方程式の一般解や,モノポール方程式の一般解(ただしいずれも,ある種の境界条件をみたすもの)がすべて得られることを示した.この,積分変換と双曲型偏微分方程式の解の理論に関しては,理論そのものはツイスター理論には触れずに展開することができるが,ツイスター理論の背景なしに見出すのは困難なものであると言え,その意味で,ツイスター理論の「応用」により新しい結果が得られたものであると言うことができる.ここで得られた結果は,非常にシンプルであるがこれまでにないものであり,不定値計量の幾何学に興味深い世界が広がっていることを示す有力な証拠であるということができ,また今後はさらなる応用なども期待される.
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