2011 Fiscal Year Annual Research Report
正則円板の族と不定値計量の幾何学に関するツイスター理論の研究
Project/Area Number |
20740034
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
中田 文憲 東京理科大学, 理工学部・数学科, 助教 (80467034)
|
Keywords | 微分幾何学 / ツイスター理論 |
Research Abstract |
今年度前半は,昨年度の後半から継続している,Joyce計量やその簡約の理論に関するLeBrun-Mason型ツイスター理論の研究をおこなった.特に不定値版Joyce計量からの簡約により得られる不定値Einstein-Weyl構造に関する研究を進めた.具体的な成果は以下の通りである: 1.標準的なものからの変形を行うとき,原点から遠方においてある種の崩壊が起きる現象を確認した 2.1の現象のツイスター対応による説明を得た 3.コンパクト化と,そのツイスター理論による解釈について研究をおこなった 1と2に関しては,これまでのLeBrun-Mason型理論には見られなかった現象であり,今後より詳しく研究する価値があると考えられる.3に関しては一定の結果は得られたが,Joyce計量との関連からのさらなる理解が必要であり,この点についてまだ研究すべきと判断したため,本結果はまだ論文として提出しておらず,今後継続して研究をおこなう予定である. 上記3の研究を進めるにあたり,簡約理論についてさらに研究する必要が生じたため,本年度後半はその研究をおこなった,具体的には,平坦な四次元ミンコフスキー空間と群作用を考え,その変形で得られる自己双対空間について,ツイスター対応を具体的に構成した.注目すべき成果として以下が挙げられる: 1.ツイスター対応は,Radon変換と波動方程式の理論に関する既知の結果を用いて記述される 2.コンパクト多様体上のLeBrun-Mason理論の場合には,Zollfrei性という強い条件を仮定する必要があったのに対し,今回のケースでは急減少性という比較的扱いやすい仮定をおけば対応が記述できることを見出した 3.二次元の円柱上の積分として波動方程式の解が得られるという,シンプルな幾何的応用が得られた 以上については論文にまとめ,プレプリントとして発表した.上記結果はコンパクト性から離れたところに豊かな世界が広がっていることを示す最初の結果とみることができ,今後の研究へと繋がる第一歩であるといえる.
|