2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740042
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
庄田 敏宏 Saga University, 文化教育学部, 講師 (10432957)
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Keywords | 極小曲面 / 平坦トーラス / モジュライ空間 |
Research Abstract |
本研究の最終目標は極小曲面論におけるガロア理論を確立することであり, 最初の2年間は超楕円型極小曲面に関する研究を進めることであった. まず4次元平坦トーラス内の超楕円型極小曲面の具体例の構成を試みた結果, 種数が4の場合の具体例で, そのJacobi多様体を具体的に与えることはできたのであるが, 4次元平坦トーラス内の具体例を構成するまでには至らなかった. ただし, こうしたJacobi多様体(8次元平坦トーラス内の極小曲面)を具体的に求めたことにより, それを7次元平坦トーラスや6次元平坦トーラス内の極小曲面などに変形することにより, 様々な極小曲面の具体例を構成することができることから, 非常に応用性に富んだものが得られた. 次に研究を進めるうちに極小曲面の縮約可能性という概念を発見したのだが, その詳細は以下の通りである. 3次元平坦トーラス内の極小曲面の具体例を考えるその過程で, 種数4の具体例と種数10の具体例が全く同じ極小曲面を与えることが起こった. 異なる種数にも関わらずこのような現象が起こるのは誠に奇妙なことであるが, その結論は, 種数10の極小曲面が種数4の極小曲面のリフトになっているというものであった. このように, 極小曲面を構成した後には必ずそれよりも種数が低い極小曲面に縮約できるかどうかを考えなければならない. そこでこの縮約可能性により元々の極小曲面と縮約された極小曲面との位相の違いを考察し, 様々な性質を得た.
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