2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740042
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
庄田 敏宏 佐賀大学, 文化教育学部, 准教授 (10432957)
|
Keywords | 極小曲面 / モジュライ理論 / ガロア理論 |
Research Abstract |
本研究は極小曲面におけるモジュライ理論をガロア理論の観点から進展させることを最終的な目標とするものであったが,最終年度である平成23年度に至るまでには様々な経緯があり,方向転換をすることとなった.ガロア理論の観点からみたモジュライ理論よりも面積関数の第二変分によって定義されるMorse indexとnullityを用いたモジュライ理論の研究を大きく進展させたということがその理由である. 極小曲面のMorse indexの研究は90年代にひとつの決定的な理論が出され,それからのこの20年間,その他の進展はほぼなかった.具体例のMorse indexが計算されたという結果も少ないという現状である。一方,極小曲面のモジュライ理論に対する先行研究は変形理論を駆使する手法が知られており,それらはnullityのみを用いたモジュライ理論であった.これに対してMorse indexも加味したモジュライ理論の方がより精密な理論であり重要ではあるのだが,具体例のMorse indexが計算されていないという関係で,モジュライ理論の確立がほぼ絶望的であった.実際,Morse indexを用いたモジュライ理論は名城大学の江尻典雄氏によって定式化されていたのであるが,具体例が伴わないがために文字通り絵に描いた餅という段階であった.そのような中で,数年前,江尻氏との共同研究にて,これまで知られていなかった数々の具体例のMorse indexを計算することに成功した.これによって,Morse indexによるモジュライ理論が急速に進展しているという状態である.このような事情にて当初の計画から研究を移行した次第である.この研究は現在も進行中で,物理や化学の研究者らが構成した極小曲面の具体例のMorse indexも解明できつつあり,今後の進展も大いに期待できる内容である.
|