2010 Fiscal Year Annual Research Report
最小軌跡による基本領域を用いた3次元双曲錐多様体の変形空間の解析
Project/Area Number |
20740043
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
秋吉 宏尚 近畿大学, 理工学部, 准教授 (80397611)
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Keywords | 幾何学 / トポロジー |
Research Abstract |
平成21年度に得られた数値実験結果には奈良女子大学の山下靖氏の実験結果との興味深い類似性があった.山下氏の数値実験はシンガポール国立大学のS.P.Tan氏との共同研究の一つとして行われたものである.8月にシンガポール国立大学に滞在し,Tan氏,山下氏とこの類似性について議論をし,前年度よりもさらに詳細な数値実験を進めた.まず彼らの実験結果との直接的な比較をするために,私が導入した幾何学的なパラメータと彼らの用いる表現の指標によるパラメータとの変換を記述した.その変換を用いて改めてTan-山下による力学的な観点からの"よい"変形空間と,標準的な基本領域を用いて定義される幾何学的な変形空間を比較したところ,それらが数値的には同一であるという驚くべき観察が得られた.クライン群論的に取り扱うことが可能な,有理的な錐角を持つ離散的な表現に対しては,幾何的な変形空間が力学的な変形空間に含まれることは自然であるが,一般の錐角においても,逆が成り立ちそうであるということは研究開始以前には想像すらできなかったことで,その証明(もしくはさらに精密な研究を通しての反例の発見)は今後の重要な研究課題である.
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