2008 Fiscal Year Annual Research Report
結び目の幾何と不変量の実現問題及びその仮想化の研究
Project/Area Number |
20740047
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
中村 拓司 Osaka Electro-Communication University, 工学部, 准教授 (60382024)
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Keywords | トポロジー / 結び目 / Alexander多項式 / C_n変形 / 周期的結び目 |
Research Abstract |
本年度は, 結ぶ目のダイアグラムの局所変形と結び目の周期の実現問題に関する研究において以下の成果を得た. ダイアグラム上のタングルダイアグラムを別のタングルダイアグラムで置き換える操作を局所変形という. 単純なものは交差交換や交点の平滑化などで, 一般に結び目のタイプを変える. 一つ局所変形のパターンを固定し, その局所変形が結び目の幾何的, 代数的性質をどう変化させるか調べることは本研究課題へのアプローチの一つである. 本年度は特にC_n変形と結び目の周期の実現に関する研究を行った. 局所変形を一つ固定し, その局所変形を1回施すことで解ける結び目で, 与えられた周期を持つものが存在するか? という問題がある. その局所変形が交差交換やパス変形などの場合ではそのような周期的結び目の存在が示されている. 一方デルタ変形では大きい周期に対してはそのような周期的結び目は存在しないだろうとの予想が立てられている. この問題に対し, Cn変形と呼ばれる局所変形を一回施すことによって解ける結び目で, 与えられた周期を持つものを3以上の任意の自然数nに対して構成した. C_n変形は結び目の有限型不変量との関連で定義された局所変形で,今後はこのような周期的結び目と有限型不変量の実現問題に取り組むことが課題である. また, シャープ変形と呼ばれる局所変形に対して同様の問題に取り組んだ. 完全な解答は得られていないが, この変形でも大きな周期に対しては存在しないだろうという予想を立てるに至った. ここまでの結果をまとめ, 国際研究集会「Knots in Washington XXVII」, 「The Fifth East Asian School of Knots and Related Topics」などで口頭発表した. 現在この結果は論文にまとめている.
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