2009 Fiscal Year Annual Research Report
結び目の幾何と不変量の実現問題及びその仮想化の研究
Project/Area Number |
20740047
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
中村 拓司 Osaka Electro-Communication University, 工学部, 准教授 (60382024)
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Keywords | トポロジー / 結び目 / 仮想結び目 / Jones多項式 / Miyazawa多項式 |
Research Abstract |
本年度は,仮想結び目の多項式不変量の実現問題に関する研究において以下の成果を得た. 仮想結び目とは,結び目のダイアグラム上の交点において,通常の正の交点,負の交点に加え、仮想的な交点というものを考えたダイアグラムで表される結び目である.これは曲面上の結び目,任意のガウスコードを実現する結び目として通常の結び目の一般化である.仮想結び目に対し,通常の結び目を古典的結び目という.古典的結び目に対するJones多項式はステイト和を通して,仮想結び目に対しても一般化され定義される.古典的結び目に対し,「Jones多項式が自明である非自明な結び目は存在するか?」という現在も未解決の大問題があるが,仮想結び目ではそのJones多項式が自明であるが非自明なものが存在する.仮想結び目のJones多項式をより一般化させた多項式不変量にMiyazawa多項式がある.これは宮澤康之氏による一連の仕事の中で得られたものでここでは2008年に定義されたものとする.一般にMiyazawa多項式はJones多項式よりも強力で,Jones多項式が自明であるがMiyazawa多項式が非自明である仮想結び目がある.(逆はない.)しかしMiyazawa多項式が自明であるような非自明な仮想結び目も存在する.今回はこのような「Miyazawa多項式が自明である非自明な仮想結び目」を無限個構成した.非自明性の判定には他の多項式不変量であるSawollek多項式を用いた.またMiyazawa多項式,Sawollek多項式さらに仮想結び目群も自明であるような仮想結び目も存在しており,そのような仮想結び目の構成的実現が今後の課題である.この成果は日本数学会年会や国際研究集会「The Sixth East Asian School of Knots and Related Topics」などで発表し,現在,論文にまとめている.
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