2010 Fiscal Year Annual Research Report
結び目の幾何と不変量の実現問題及びその仮想化の研究
Project/Area Number |
20740047
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
中村 拓司 大阪電気通信大学, 工学部, 准教授 (60382024)
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Keywords | トポロジー / 結び目 / 局所変形 / シャープ変形 / Alexander多項式 / シャープ型結び目解消数 / 合成結び目 |
Research Abstract |
本年度は,結び目の局所変形と素性および、多項式不変量の実現問題に関する研究において以下の成果を得た. 結び目の局所変形とはその正則図のある一部分を変える操作であり,交差の上下を変える交差交換がその代表例である.この局所変形で結び目の幾何的性質や代数的性質がどのくらい変化するのかを考察することは本研究の中心的課題でもある.本年度は特に結び目のシャープ変形と呼ばれる局所変形に関して研究を行った.交差交換と違いシャープ変形は施すときに,実際に正則図の施せる場所を捉えることが非常に難しい.そこでシャープ変形一回で生成される局所変形(53-変形,3_1-変形など)をこれまで見つかっているもの以外に新たに構成した.この中で,2-フルツイストを解き,さらに局所的な結び目(3_1や5_1やある種のモンテシノス結び目)を作りだす局所変形を構成し,これを利用してシャープ型結び目解消数1で2つの素な因子結び目からなる合成結び目を無限個構成した.これは坂井-村上の結果の拡張である.また,同様に3つの因子結び目からなる合成結び目も無限個構成している.シャープ型結び目解消数1の結び目によるAlexander多項式の実現問題にも取り組んでいる.坂井により知られている実現されるAlexander多項式の系列以外にいくつかの系列が実現されることを示した.実現問題については完全解答は得られていないが,これの解決が今後の課題である.これらの研究は神戸大学の中西康剛氏との共同研究である.この成果は研究集会「E-KOOKセミナー2010」や国際研究集会「The 7th East Asian School of Knots and Related Topics」などで発表し,現在,論文にまとめている.
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