2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740049
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Research Institution | Kushiro National College of Technology |
Principal Investigator |
佐古 彰史 釧路工業高等専門学校, 一般教科, 准教授 (00424200)
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Keywords | 微分トポロジー / 非可換幾何 / ゲージ理論 / インスタントン / ボーテックス / ADHM構成法 |
Research Abstract |
ゲージ理論のソリトンであるインスタントンとそれを分類する位相不変量であるインスタントン数の非可換変形について得られた研究成果の概要を述べる。インスタントンとはゲージ理論における曲率2形式の自己双対あるいは反自己双対方程式の解であり、方程式はインスタントン方程式とも呼ばれる。非可換変形とは空間の非可換化を変形量子化の方法で行うことを意味し、具体的にはすべての積をスター積(モヤル積)に置き換えることを指す。空間の非可換変形の影響でインスタントン方程式やその解も変形を受け、その解析が我々の研究の目的である。ここではゲージ理論を定義するベースの多様体として4次元ユークリッド空間を考え、ゲージ群はユニタリー群とする。 21年度までに可換極限が存在するNが2以上のU(N)ゲージ理論におけるインスタントンの変形量子化の構成方法やADHMデータとの関係などが明らかになっていた。そこで22年度では4次元ユークリッド空間上で唯一構成されていなかった可換極限の存在しないU(1)インスタントンを変形量子化として構成する方法について考察した。その結果として、通常では考えない2乗可積分性を持たないゲージ場から出発して変形解が得られるという事がわかった。また、逆に非可換変形を素朴に行う事で生じる作用汎関数の発散を、U(1)インスタントン方程式を用いて正則化することが可能であることも予想される。このことに対して実際に具体的なモデルで非可換パラメータの2次までは正則化されている事も示された。これらについては、エレバン(アルメニア)や京都での国際会議で報告した。
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