2011 Fiscal Year Annual Research Report
確率制御に関連する問題におけるmax-plus確率論的アプローチ
Project/Area Number |
20740052
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
貝瀬 秀裕 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (60377778)
|
Keywords | 確率論 / 確率制御 / 動的計画偏微分方程式 / max-plus代数 |
Research Abstract |
多くの制御問題においては非線形量を扱わなければならず,時間発展をともなう量としては,決定論的制御や確率制御における動的計画原理に関連する非線形半群が代表的である.実数における通常の和と積をmaxと和に置き換えると,逆元をとる操作以外は通常の四則演算が可能なmax-plus代数と呼ばれる代数系が得られるが,決定論的制御における上記半群は作用する関数空間をmax-plus代数値関数に置き換えると,max-plus代数のもとで線形性を持つ.このことから決定論的制御問題に対しては線形性に基づく多くの数学理論や手法がmax-plus的解釈を通じて適用可能になり,例えば,決定論的制御においてはmax-plusの意味での半群の線形性を効果的に用いることによって,値関数をある種の基底関数で展開することができる. 一方,確率制御においては決定論的制御の場合と異なり,動的計画原理に関連する半群はmax-plus(またはmin-plus)代数のもとで線形にはならず,線形理論のmax-plus(またはmin-plus)代数的アナロジーを直ちに展開することはできない.本年度の研究では,有限時間の古典的確率制御においてmin-plus代数の分配律に着目することで,値関数がある種のクラスの関数を用いて展開できることを示した.また各時間における値関数の展開係数は時間に関して帰納的に計算できることを示した.これらの結果は,確率制御における動的計画偏微分方程式に対する空間メッシュに依らない新しい数値解法を与える可能性があると考えられる.これらの研究結果は論文にまとめて投稿し,国際学会で研究発表を行った.
|