2009 Fiscal Year Annual Research Report
量子確率論的手法によるフラクショナルブラウン運動の研究
Project/Area Number |
20740053
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
浅井 暢宏 Aichi University of Education, 教育学部, 准教授 (60399029)
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Keywords | 量子確率論 / 変形Fock空間 / Wilson系列の直交多項式 / 解析関数空間 / メリン変換 / 一般化Segal-Bargmann変換 / 非ガウス型確率測度 |
Research Abstract |
研究目的および実施計画にもとづき研究を進めた結果、平成20年度末に、一変数Meixner系列(背後にはフラクショナルブラウン運動がある)より一般的なWilson系列の直交多項式と付随するC上の確率測度が本研究課題の範疇に入るとの感触を得ることができ、その方向での研究に取り掛かる準備をしていた。よって、平成21年度は、Wilson系列でありMeixner系列より上位にある連続双対Hahn多項式に付随する課題に研究対象を特化した。その結果、連続双対Hahn多項式に付随するJacobiパラメータから、メリン変換と合成積定理を用いることにより、新たな確率測度をC上に構成することに成功した。この結果は早急に論文としてまとめ上げ、国際専門雑誌IDAQP(単著、Vol.12,2009)に受理され掲載された。この論文での手法は、今後、新たな無限分解可能分布や新たな相互作用フォック空間の発見に役に立つと期待している。さらに、非ガウス測度に関する直交多項式と付随するSegal-Bargmann型変換が非ガウス型重複確率積分表現と無限次元正則関数表現との橋渡しをする上で極めて重要な研究対象であることが予想され、本年得られた成果の他変数拡張は今後の最も重要な課題の一つである。なお、今年度の研究成果は、国内外の研究者から強い関心を引くこととなり、Bedlewo (Poland)、Santiago (Chile)および仙台で開催された国際研究集会等で発表する機会を得た。また、長年共通の問題を共有している久保泉氏と乗法的繰り込み法によるアプローチについて研究打合せを行った。
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