2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740055
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 肇一 Kyoto University, 数理解析研究所, 助教 (00378960)
|
Keywords | 数理モデリング / 真正粘菌変形体 / 2足歩行 / 反応拡散系 / 環境適応 |
Research Abstract |
生命活動において特徴的なこととして環境の変化に対するシステムの柔軟な適応性が挙げられる。その仕組みを理解するためには、数理モデリングを行い、システムの維持において本質的な役割を果たすパラメータを発見することが必要である。今年度は真正粘菌変形体及びヒトの2足歩行においてみられる環境変化に対する適応性について研究を行つた。真正粘菌変形体においては細胞全体でみられるゲルの収縮弛緩運動とゾルの流動現象に加え、移動運動をする際に先端部である化学反応が起きていることが報告されている。そこで、それらを考慮に入れた現象論的モデル方程式を提案した。生物実験において先端部が忌避物質に接した後に、その濃度に応じて移動方向を反転させ、その場から逃げる現象や細胞が分裂する様子が観察されるが、そのような振る舞いを提案したモデルによって再現することができた。また、そのような適応性は先端部で起きる化学反応を制御することで得られることが示唆された。ヒトの2足歩行においては様々な環境変化に対してシステムの維持を可能にするためにはシステム全体の状態を評価する変数を発見することが重要となる。相空間において歩行状態と転倒状態を分けるセパラトリクス近傍において数値実験を行った結果、歩行速度によってシステムの状態が評価できることがわかった。さらに、股関節及び膝関節を歩行速度に応じて制御することによって様々な環境変化に適応できることを数値シミユレーションによって確認した。
|
Research Products
(4 results)