2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740055
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 肇一 Kyoto University, 数理解析研究所, 助教 (00378960)
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Keywords | 移動運動 / 環境適応性 / 真正粘菌変形体 / 2足歩行 / 数理モデル |
Research Abstract |
真正粘菌変形体にみられる環境適応性 真正粘菌は、進展運動中に忌避物質に接触した際、その濃度に応じて適切に運動方向を変化させる振る舞いを見せる。そのような環境適応性の仕組みは未だ明らかになっておらず、数理的な理解が重要な課題になっている。本年度は、忌避物質に接した際に細胞が見せる特徴的な振る舞い(通過、分裂、反射)を再現する数理モデルの作成を行い、環境適応性の再現にとって重要な機構を明らかにすることを試みた。真正粘菌の運動を再現するモデル方程式ではこれまで考慮されていなかった、細胞先端部分でおきる化学反応を考慮に入れたモデル方程式を導出した。原形質の量によって細胞先端部分で起きる化学反応を制御することによって、忌避物質の濃度に応じて振舞いを変化させる様子を再現することに成功した。このことから原形質流動と進行パルスの間の適切な相互作用によって環境適応性が現れることを示すことができた。 2 足歩行システムにみられる環境適応性 ヒトの2足歩行システムにみられる環境適応性の数理的解明によって生理学や工学の分野において有益な情報を提供することができる。本年度は不安定な地面(杭の上)を歩くシステムの環境適応性について考察した。杭の上に着地した時の足の位置と膝関節角度の間に適切な拘束条件を与えることによって、2足歩行システムが杭の上を安定に歩行することを数値シミュレーションによって確認した。さらに、着地時の姿勢を歩行速度の関数として変化させることで歩行の安定性が向上することを示した。
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Research Products
(6 results)