2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740056
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
来嶋 秀治 Kyoto University, 数理解析研究所, 助教 (70452307)
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Keywords | アルゴリズム / 確率論 / マルコフ連鎖 / 離散数学 |
Research Abstract |
離散的対象のランダム生成アルゴリズムの設計について,特に理論的側面から,多項式時間アルゴリズムの存在性/不可能性の問題に取り組んだ.具体的には下記の対象を扱った. 1. グレースケール画像の画像修復を応用に持つQ-Isingモデルに対して,完壁サンプリング法を設計した.詳細には,新しいマルコフ連鎖を設計し,単調性を示し,単調CFTPアルゴリズムの適用を図った.また,マルコフ連鎖が多項式時間収束するための十分条件を与え,条件の下でのアルゴリズムの多項式時間性を示した. 2. 一般化メディアン安定結婚問題の多項式時間乱択近似計算可能性について取り組んだ.この問題が,半順序イデアルの一様ランダム生成の多項式時間性と等価であることを明らかにした. 3. 対数劣モジュラ分布からのサンプリングについて,近似サンプリングの困難性について明らかにした.この問題は,重要な未解決問題であるグラフ中の森の一様ランダム生成の一般化にあたる,また,対数劣モジュラ分布の応用例として,Tutte多項式の乱択近似計算法の多項式性について議論し,多項式時間乱択近似計算可能な領域の一部を明らかにした. 4. グラフ中の支配集合数え上げ問題の多項式時間計算可能性について議論を行った.数え上げ問題は一様ランダム生成と密接な関係を持つ.コーダルグラフ,ATフリーグラフなどのクラスに対して,問題の#P困難性を示すと共に,インターバルグラフ,順列グラフなどのクラスに対して,多項式時間求解性を示した.この議論により,問題の難しさの境界が明らかとなった.
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Research Products
(5 results)