2009 Fiscal Year Annual Research Report
確率過程に対する統計的漸近推測の理論構築とその高頻度データ解析への応用
Project/Area Number |
20740061
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
増田 弘毅 Kyushu University, 大学院・数理学研究院, 助教 (10380669)
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Keywords | 統計数学 / 漸近理論 / 確率微分方程式 / レヴィ過程 |
Research Abstract |
本研究の主眼は,確率微分方程式(SDE)で記述される広い統計モデル族に対する統計的漸近推測の厳密な理論の構築とその応用である.これに際しては,ジャンプの特性を加味した様々な極限定理の導出のみならず,当該確率過程の標本路の疑似生成など,具体的応用の実装へ向けての数値解析的な側面の研究も不可避である.本年度は以下の結果を得た.(1) と(2) は交付申請書に記載した研究目的・実施計画に沿ったものであり,大幅ならずとも着実な進展が得られた.(3) は(2) の研究過程において派生した結果である. (1) 広範な非正規安定モデルの実装容易な推定量を構成し,その漸近挙動を導出した.駆動安定ノイズの非対称でもよく,筆者が先に得た対称な場合の推定法の一般化が得られたことになる.数値実験においてその有用性が確認された.数理ファイナンスにおける安定型オプション価格付モデルのキャリブレーションへ直接適用可能である.(2010年出版予定) (2) 不連続オルンシュタインーウーレンベック過程におけるドリフト推定の収束率について,従来の正規型OU過程の場合と著しく異なる現象を明確にした.この場合,最少絶対偏差型の推定関数を介し,正規型の場合よりも速く収束する正則な推定量を構成可能である.一般のレヴィSDEモデルの漸近推測に新たな知見を得た.(現在学術誌へ投稿中) (3) OU過程の広い族に対する尤度の正確な構造を導出した.これにより,ノイズ過程の微小ジャンプの頻度によって本質的に異なる乱数生成法が必要であることが分かった.有界および非有界変動のそれぞれの場合に乱数生成の処方箋を定式化した.これらは推測方法の数値的検証において重要な道具となる.(現在学術誌へ投稿中)
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