2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740062
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
廣田 千明 Akita Prefectural University, システム科学技術学部, 准教授 (00336447)
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Keywords | 爆発解 / 微分方程式の数値解法 |
Research Abstract |
微分方程式の解が有限の時刻で発散してしまう現象は解の爆発現象と呼ばれ, 数学的にも数値解析的にも解析が難しいことから, 現在も盛んに研究されている. 爆発現象を特徴付ける量はいろいろあるが, 発散の速さ(爆発レートと呼ばれる)について研究を行った. 爆発解を持つもっとも有名な微分方程式として藤田タイプと呼ばれる反応拡散方程式がある. この方程式は, 特殊な場合として空間について一様な解を考えれば, 拡散項が不要となり簡単な常微分方程式に帰着される. この常微分方程式がもつ爆発レートをタイプIといい, それより速いレートをタイプIIという. タイプIIの爆発は方程式の形からは想像できない爆発レートが発生するので大変興味深い. 藤田タイプでは空間の次元数や反応項の種類によりタイプIIの爆発を起こすことが知られている. こういった背景から, 解析したい問題の解の爆発レートが, ある爆発レートより速いか遅いかを判定する手法の開発は, タイプIIの爆発を探す上で強力な道具となるので, 大変重要な研究テーマである. 爆発レートの比較を行うには2つの解の比を計算するのが自然である. しかし, 同じ時刻で爆発する解の比を計算する必要があるので, 通常, 解析対象となる問題の爆発時刻がわからないために不可能である. そこで, 解曲線の長さを独立変数とし時刻も従属変数とする変数変換を用いて, 2つの問題の時刻が爆発時刻に収束する速さの比を計算することで爆発レートを比較する方法を考案した. 今年度はスカラの常微分方程式に対してこの方法が有効であることが数値実験により確認できた.
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