2008 Fiscal Year Annual Research Report
無限次元タイヒミュラー空間と複素解析的モジュライ空間の構造の解明
Project/Area Number |
20740072
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
藤川 英華 Chiba University, 大学院・理学研究科, 准教授 (80433788)
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Keywords | 複素解析学 / リーマン面 / タイヒミュラー空間論 / 擬等角写像 / 写像類群 |
Research Abstract |
タイヒミュラー空間上に作用するモジュラー変換の考察を行った. 有限型リーマン面に対する有限次元タイヒミュラー空間上では, 擬等角写像の位相的分類とタイヒミュラーモジュラー変換の解析的分類の対応が知られている. 特に, ニールセン実現問題の肯定的解決により, モジュラー変換がタイヒミュラー空間上に固定点を持つこと(楕円型モジュラー変換)と, 位数有限(周期的)であることが同値である. 無限型リーマン面に対する無限次元タイヒミュラー空間上のモジュラー変換に対しても元の分類理論を構築するのが本研究のひとつの目標であるが, 軌道の様相は極めて複雑なため, その考察は非常に難しい, 現段階では部分的な結果として, 有界軌道をもつモジュラー変換は楕円型であることが分かっている. また, 一方, 楕円型モジュラー変換が位数有限になるための必要十分条件も得られている. 今年度の研究では, タイヒミュラー空間の商空間である漸近的タイヒミュラー空間上に作用する漸近的モジュラー変換に対して, 上に対応する結果を得た. 具体的には, 双曲幾何的な一様性をもつリーマン面(この仮定は本質的に必要)に対して, 漸近的モジュラー変換が位数有限であるならば, 漸近的タイヒミュラー空間上に固定点をもつ(楕円型)ことを示した. また, 漸近的楕円型モジュラー変換が位数有限になるための擬等角写像に関する必要十分条件も得た. この結果は, 漸近的モジュラー変換の考察を通して, タイヒミュラー空間上の様相を解明されていく重要な過程であり, 来年度以降にこのさらなる精密化を与えることで, タイヒミュラー空間上に作用するモジュラー変換の様相が解明できると思われる.
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Research Products
(4 results)