2009 Fiscal Year Annual Research Report
無限次元タイヒミュラー空間と複素解析的モジュライ空間の構造の解明
Project/Area Number |
20740072
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
藤川 英華 Chiba University, 大学院・理学研究科, 准教授 (80433788)
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Keywords | 複素解析学 / リーマン面 / タイヒミュラー空間論 / 擬等角写像 / 写像類群 |
Research Abstract |
タイヒミュラー空間上に作用するタイヒミュラーモジュラー群に対しては,その部分群で軌道が有界であるものはタイヒミュラー空間上に共通固定点をもつことが知られている.これにより,(無限次元)タイヒミュラー空間上でのタイヒミュラーモジュラー群のニールセン実現問題が解決される.特に,位数有限なタイヒミュラーモジュラー変換はタイヒミュラー空間上に固定点をもつ(つまり楕円型変換)であることがわかる. これと同横の問題を,タイヒミュラー空間の商空間である漸近的タイヒミュラー空間に作用する漸近的タイヒミュラーモジュラー群に対して考える.昨年度の研究では,双曲幾何的な一様性をもつリーマン面に対して,漸近的タイヒミュラーモジュラー変換が有限位数であるならば,漸近的タイヒミュラー空間上に固定点を持つことを示した.今年度の研究では,その結果を拡張し,同じ双曲幾何的な条件のもと,漸近的タイヒミュラーモジュラー群の有限部分群は漸近的タイヒミュラー空間に共通固定点をもつことを証明した.これは,漸近的タイヒミュラーモジュラー群に対するニールセン実現問題のひとつの解答を与えでいる.実際,リーマン面上の二つの擬等角写像類がend equivalentであるとは,あるコンパクト集合の外で一致している時をいい,あるコンパクト集合の外で等角写像であるもののend equivalence class全体からなる群をend conformal automorphism groupとする.このとき,漸近的タイヒミュラーモジュラー群の有限部分群はend conformal automorphism groupの中に実現できることがわかる. なお,この結果は,リーマン面・不連続群研究集会および日本数学会2010年年会函数論分科会函数論分科会で発表した.
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Research Products
(5 results)