2010 Fiscal Year Annual Research Report
双曲正多角形を基本領域にもつリーマン面とクライン面の研究
Project/Area Number |
20740081
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 豪 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (50319208)
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Keywords | 関数論 / 解析学 / リーマン面 / クライン面 / 基本領域 / 極値的円板 |
Research Abstract |
1.種数5(叉帽の個数)の向き付けられないコンパクトな曲面(クライン面)のうち,種数のみで定まる最大半径の円板(極値的円板)を埋め込むことのできるもの(極値的曲面)について,次の結果を得ることができた。極値的円板を2個含むことのできる極値的クライン面は,全部で17種類存在する。そして3個以上含むものは存在しない。これら17種類の極値的クライン面すべてに対して,極値的円板の埋め込み位置を得ることができた。極値的円板の中心点は自己同型写像により互いに写りあうことが判明した。そして自己同型群を決定することができた。これらの群は位数の小さい可換群である。これ以外の3610種類の極値的クライン面すべてに対しても自己同型群を決定することができた。 2.双曲正30角形の辺の貼り合わせをコンピュータにより解析し,種数6の極値的クライン面となるものをすべて得ることができた。このために10個の頂点,15個の辺からなる3枝グラフをすべて求めた。 3.双曲正8角形から構成される種数2のコンパクトリーマン面の同次座標系を基にして,種数2のコンパクトリーマン面のタイヒミュラー空間を7つの変数からなる方程式で特徴付けることができた。 これらの結果は,極値的クライン面がモジュライ空間の中でどのような特異点であるかを解明するための基礎的な情報であり,意義があるといえる。極値的円板の中心点を得ることは曲面の特徴付けにとても重要である。そしてさまざまな曲面の自己同型群を決定することは,それ自身重要な問題である。また,タイヒミュラー空間を特徴付ける方程式を得ることは,高次元の空間の認識を正確に行うためにとても意義があるといえる。
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