2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740084
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Research Institution | Matsue National College of Technology |
Principal Investigator |
松下 慎也 Matsue National College of Technology, そのたの部局等, 助教 (20435449)
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Keywords | 関数解析学 / 不動点問題 / エラーバウンド |
Research Abstract |
本研究では不動点問題に対する実用的な近似解法を新たに導入しようとしている。平成20年度における本研究の研究目標として、次の三つを挙げていた。第一に「不動点問題の考察」、第二に「写像の性質の解明」、そして第三に「試験的なシミュレーションの実施」である。第一、第二の目標については、Banach空間で定義された集合値作用素が持つ零点周辺での正則性の条件に着目し、これまでに提案されていた方法よりもさらに一般的な条件のもとで近似列の存在性、及び近似列の収束性について考察することができた。特に、近似列の存在性については、集合値作用素に対する縮小写像の不動点定理を利用することでその存在が保証されている。この近似列は集合値作用素の単調性を仮定しない場合で結果が得られており、様々な解析対象について応用可能な命題について結果を得ることができたと言える。また、この結果は問題を再構成することにより、不動点問題に対する解の近似に関する結果として取り扱うことが可能で、ある種の不動点問題に対する解の近似定理を得たことになる。これは本研究の目標である不動点問題に対する実用的な近似列の構成について一定の成果が得られた。また、今後正則性の条件のもとでより汎用性を持った近似解法について研究を進めることにより、計算機への実装を実現することが期待できる。今年度の研究成果は、様々な解析対象に柔軟に対応でき、かつ数学的に保証された結果を提供するための有効なアプローチであり、エラーバウンドの概念を導入するための一定の研究成果を得ることができたと言える。
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