2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740084
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
松下 慎也 公立大学法人 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (20435449)
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Keywords | 不動点 / 近接点法 / 極大単調作用素 / リゾルベント / 変分不等式 |
Research Abstract |
近年、不動点問題の研究において様々な写像に対する求解法の解への収束に関する研究が活発におこなわれている。これまでの研究では、構成された点列が解に有限回で到達する事を保証する条件についてほとんど議論されておらず、未解決な部分が多いのが現状であった。本年度は以下について研究をおこなった。1.極大単調作用素に対する近接点法が、有限回のステップ数で解に到達するのを保証する条件について考察した。先行研究では、有限次元空間における凸計画問題に対して条件が提案されていたが、この条件を参考にして、有限次元空間よりも一般的なBanach空間上で定義された集合値写像に対しても適用できる新たな条件を提案した。さらに提案した条件のもとで近接点法が有限回のステップ数で解に到達することを保証した。また得られた結果を凸最小化問題に適用し、その有用性を検証した。本研究で扱った問題は,極大単調作用素のリゾルベントに対する不動点問題として定式化できるため、不動点問題の解の収束に関する研究において新たな知見を得ることに成功した。本研究の内容は論文として学術雑誌に投稿し、論文掲載が決定している。2.変分不等式に対する解への近似列が有限回で解に到達するための十分条件について考察した。先行研究では点列が解に有限回で到達するのには点列が強収束するという条件が必要であったが、Hilbert空間の場合にその条件を仮定せずに有限回のステップ数で解に到達することを保証した。変分不等式は2種類の写像を合成した写像の不動点問題として定式化できる事が知られており、不動点問題と密接に関係している。本研究の内容は論文としてまとめており、現在論文を投稿中である。
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