2009 Fiscal Year Annual Research Report
変分構造をもつ幾何学的時間発展方程式の解の挙動に関する研究
Project/Area Number |
20740086
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
高坂 良史 Muroran Institute of Technology, 大学院・工学研究科, 准教授 (00360967)
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Keywords | 境界付き超曲面 / 平均曲率流 / 表面拡散方程式 / 平均曲率一定曲面 |
Research Abstract |
本年度はまず、互いに交わった3つの超曲面の平均曲率流による挙動に関して研究を行った。具体的には、動曲面をある与えられた超曲面からの符号付距離関数で表し、得られた2階非線形偏微分方程式系に対して時間局所解の存在を明らかにした。この解析にあたっての難しさは、この問題が異なる超曲面(つまり、異なる定義域)上での偏微分方程式系になり、通常の理論が直接利用し難い点が挙げられる。さらに、導出された偏微分方程式系が2階導関数を含む非局所項をもつため、通常の理論をそのままでは利用できない。本研究では、ガレルキン法やCampanato空間を用いたGiaquinta等の手法、および摂動法などを組み合わせ、これらの難点を解消し、時間局所解の存在を明らかにした。ここで得られた解析手法は、3つの超曲面の表面拡散方程式等による挙動の解析においても有効な手段となることが期待される。 また、上記の研究と並行して、ノイマン型の境界条件の下で回転面の表面拡散方程式による挙動に関して研究を行った。表面拡散方程式に対する定常曲面は平均曲率一定曲面となるため、境界付平均曲率一定曲面について解析を進めた。回転面と外部領域との接触角の角度が90度の場合はAthanassenasやVogelによって研究されているため、接触角の角度が90度以外の場合について解析を行った。さらに、AthanassenasやVogelは外部領域が平行な平面の場合のみを扱っているため、外部領域がより一般的な形状の場合について研究を行った。本年度はこの設定において、定常曲面の周りでの表面拡散方程式に対する線形化方程式を得ることができたので、来年度は得られた線形化方程式を解析し、この設定における定常曲面の安定性の構造を明らかにする予定である。
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