2010 Fiscal Year Annual Research Report
空間非一様な非線型反応拡散方程式系がうみだす空間パターンにおける集中現象
Project/Area Number |
20740090
|
Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
中島 主恵 東京海洋大学, 海洋科学部, 准教授 (10318800)
|
Keywords | 非線型反応拡散方程式系 / 特異摂動問題 / 遷移層 / スパイク / モース指数 / 変分法 / 写像度 |
Research Abstract |
単独の自励系においては凸領域上の安定定常解は定数解に限ることが知られている.しかし反応項が空間に対して非一様な場合には"安定定常解なら自明解である"という事実は成り立たず,定常解は安定であっても実にさまざまな形状をもちうることが知られている.空間一様の状況下では空間的に非一様な安定解は存在しえないが,反応項に少しでも空間的摂動を加えると空間1次元の領域上であっても非常に大きなギャップをもつ安定定常解が多数現れることがある.本研究ではこのような特異現象の例となる方程式系について研究し,その空間非一様性が拡散と微妙なバランスをとってうみだす空間パターンを解析する.本年度は以下の業績がえられた. 1.空間非一様な双安定型方程式系における定常遷移層の位置と安定性について解析した.1次元に関してはNakashima (2003, JDE)において遷移層の位置と数によって定常解の安定性(モース指数)が完全に決定される,という結果がえられていたが,空間多次元の場合はこれに対応するような結果を導くことが難しく,国内外の数多くの研究者によってさまざまなアプローチがなされてきた.Li-Nakashima(印刷中)では空間多次元の場合を扱い,多数の安定遷移層をもつ安定定常解を形成し,また定常解が遷移層をもちうる場所はある界面方程式の定常解の近傍のみであることを証明した. 2.空間非一様な反応拡散方程式であらわされる遺伝子モデルを空間多次元領域において解析した.Nakashima-Ni-Su (2010, DCDS)では多数の遷移層をもつ定常解を構成した。
|
Research Products
(4 results)