2009 Fiscal Year Annual Research Report
変分的手法による特異ハミルトン系の周期軌道存在問題
Project/Area Number |
20740091
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
足達 慎二 Shizuoka University, 工学部, 准教授 (40339685)
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Keywords | 準線形楕円型方程式 / G-不変 / 一意性 / 特異ハミルトン系 / Morse Index / 周期軌道 |
Research Abstract |
特異ハミルトン系と並んで重要な変分問題である楕円型方程式の正値解の存在と一意性に関して研究を行い,方式が空間変数に依存する非自励系のある種の準線形楕円型方程式のG-不変な正値解の存在を示した。この楕円型方程式はプラズマ物理で現れるある現象を記述した準線形Schrodinger方程式の定在波解が満たすべき方程式であるが,準線形性による複雑な変分構造を持つ故にこれまで数学的にはほとんど扱われでこなかった。ここではdual approachを用いて準線形楕円型方程式を半線形楕円型方程式に変換する方法をとった。この変換により2つの(同値な)方程式に対する2つの汎関数を取り扱うことになるが,この2つの汎関数の性質を詳しく調べることにより正値解の存在を示した。このようなアプローチ法は特異ハミルトン系の周期軌道存在問題でも有効だと思われる。周期軌道の多重存在問題に関しては周期軌道のMorse Indexが多重性を示すことがポイントであり,これまで2種類の汎関数に対してMorse Indexの評価を計算してきたが,今後はこれら2種類の汎関数の共通性質を詳しく調べて周期軌道の多重存在を示したい。準線形楕円型方程式に関してはさらに自励系の方程式に対して正値解の一意性と非退化性に関する結果を得た。具体的には正値解が一意となる準線形性と非線形性の強さに関する十分条件を得た。この方程式の一意性に関する結果はこれまで全くなかったので,大きな進歩だと思われる。また,非自明解の存在・非存在を分ける閾値も得ることができ,対応する半線形楕円型方程式と類似の構造を持つことがわかった。これらの結果により今後は定在波の軌道安定性に関する研究を推進していきたい。
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