2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20740092
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川平 友規 Nagoya University, 大学院・多元数理科学研究科, 助教 (50377975)
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Keywords | 複素力学系 / 剛性 / 双曲幾何 / ラミネーション / サリバンの辞書 |
Research Abstract |
おもに1次元複素力学系における剛性問題について研究した. 「複素力学系」とは複素多様体上の, 複素構造を保存する自己写像による力学系である. また「剛性」とは, 力学系の作用をrespectする複素構造の変形が強く制限される性質をいう. とくに有理写像による複素力学系研究においては, 力学系をそのカオス部分に制限して得られる力学系の剛性はもっとも重要なテーマであり, いくつかのアプローチが知られている. とくに私が長年興味もっているのは, リュービッチとミンスキが90年代半ばに導入した双曲幾何学的手法を用いる方法である, 彼らは複素力学系の幾何学的実現として3次元双曲ラミネーションを定義し, 双曲多様体の剛性定理のアナロジーとして力学系の剛性定理を証明した。その後ハイッシンスキはこの結果をふくむ剛性定理を函数論手法により証明したが, これらふたつの剛性定理のギャップをラミネーション理論の文脈から埋める方法については研究されていなかった. 今年度の研究では, ラミネーションに芽位相という別の位相を導入し閉包を取ることで, ハイッシンスキの剛性定理に相当する結果が得られることがわかった. また, これら二つのアプローチを融合する理論として, ザルクマン関数と呼ばれる有理形関数族の空間をもちいた手法を考案した. また剛性問題とは別に, 放物的周期点の安定的摂動に関するゴールドバーグとミルナーによる予想の一般的解決にむけた研究を行った. この予想は特殊な退化ベルトラミ方程式を解く問題に帰着されることがわかったが, 既存の理論では解くことができない. 最近リーマン面の可測な等角計量の変形を用いた手法を思いつき, わずかに光明が差した, というところである.
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Research Products
(5 results)