2009 Fiscal Year Annual Research Report
退化特異性をもつ偏微分方程式の自由境界問題とその応用
Project/Area Number |
20740094
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
竹内 慎吾 Kogakuin University, 工学部, 准教授 (00333021)
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Keywords | 退化特異性 / pラプラス作用素 / 自由境界 / 非線形拡散 |
Research Abstract |
21年度の研究実施計画では、pラプラス作用素の線形化作用素の解析を行う予定であったが、9月開催の日本数学会秋季総合分科会・函数方程式論分科会において特別講演の依頼を受けたため、まずその前年度に論文にまとめた結果を拡張し、その成果を併せて報告できればと思い、これに取り組んだ。具体的には、1次元のpラプラス作用素を含む双安定常微分方程式の解の一致集合の存在条件に関する結果を、多次元の場合に拡張することを試みた。残念ながら講演には間に合わなかったが、最近になってようやくそめ方向に進展の兆しが見えたので、それは今年度の課題としたい。また、1次元の結果については、昨年度提出した論文の他に、今年度、数理解析研究所の講究録としてまとめた。 一致集合の研究における副産物として、1次元のpラプラス作用素を含むある種の双安定常微分方程式の厳密解に対して、ヤコビのsn楕円関数を一般化し、これを用いて解表示を与えることに成功した。sn関数のこの一般化は、Elbert(1979)、Drabek-Manasevich(1999)による一般化三角関数を補間する関数となっており、これを用いて一致集合(フラットコア)をもつ解も含めて統一的に表示することができた。またその解表示から、ある種の解それ自身がp/2ラプラス作用素の固有関数になることが発見された。この結果は、pラプラス作用素を含む方程式の、異なるpに対する解の関係を与えており、あまり類がないのではないかと思われる。これらの結果は3月開催の日本数学会年会・函数方程式論分科会において発表し、論文として投稿中である。
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