2011 Fiscal Year Annual Research Report
退化特異性をもつ偏微分方程式の自由境界問題とその応用
Project/Area Number |
20740094
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹内 慎吾 芝浦工業大学, システム理工学部, 准教授 (00333021)
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Keywords | 非線形 / 微分方程式 / 自由境界問題 / 退化性 / 特異性 / ヤコビ楕円関数 / 分岐 |
Research Abstract |
研究代表者は過去に,ヤコビ楕円関数を一般化した超越関数を定義し,pラプラシアンを含む常微分方程式の境界値問題に具体的な解表示を与えた.ヤコビ楕円関数やその周期がもつ性質,例えば加法定理や算術幾何平均との関係は古くからよく知られており,この一般化ヤコビ楕円関数に対しても,それらの性質が成り立つのではないかと考えるのは当然である.研究代表者はまず,楕円関数に詳しい数人の著名な数論研究者にコンタクトをとってみたが,ヤコビ楕円関数に対するこの種の一般化はこれまで考えられたことはなく,その性質も明らかではないようであった.また研究代表者が著した論文に対し,一般化三角関数(一般化ヤコビ楕円関数の母数0のケース)研究の第一人者であるP.Lindqvistからコメントを頂き,その文面からもこの種の一般化は例がないようであった.したがってこの一般化ヤコビ楕円関数は本研究課題によって初めて定義されたものといってよさそうである.またその性質については,ヤコビ楕円関数が三角関数と双曲線関数(非周期関数)を補間しているのに対応し,一般化ヤコビ楕円関数は二つの一般化三角関数(周期関数)を補間しているという相違が見られた.しかしそれ以外には特に著しい結果を得ていない.特に加法定理は楕円関数がもつ性質として極めて重要であるが,一般化三角関数でさえも,最近見つかった特別なケース(D.E.Edmunds,P.Gurka and J.Lang(20l2))を除いて,成り立つかどうかは未解決である. 京都大学数理解析研究所において,共同研究「非線形拡散の数理」を開催した.非線形拡散に特化した研究会は知る限りでは本邦初である.数学解析・数値解析・現象モデリング・工学等への応用など,幅広い分野から非線形拡散の研究者を招き,また多くの参加者を得ることができ,大変良い交流の場となった.
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