2008 Fiscal Year Annual Research Report
時間遅れを持つ力学系の周期解の存在と安定性に関する研究
Project/Area Number |
20740097
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Research Institution | Numazu College of Technology |
Principal Investigator |
江上 親宏 Numazu College of Technology, 電子制御工学科, 助教 (90413781)
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Keywords | 数理生物学 / Lotka-Volterra型方程系 / Hopf分岐 / 写像度 |
Research Abstract |
本研究では、時間遅れをもつ力学系の定性的解析において、周期解の存在や安定性を調べるための汎用的な位相幾何学的手法の確立を目標としている。特に、写像度の理論の新しい応用に重点を置いている。具体的な研究対象として、Lotka-Volterra型方程式系、Lienard型方程式系、Belousov-Zhabotinsky(BZ)反応系にと代表される非線形援動系を想定している。これらのモデルは自然科学一般の枠を超え、経済学をはじめとする社会科学の観点からも広く応用が期待される。初年度得られた成果を下記に示す 1. 時間遅れを持つvan der Pol型N結合振動子系のLimit cycleの存在問題に対して、Hirano & Rybicki(2003)によって考案されたS^1 degreeを用いた手法を足掛りに研究を進めている。 2. 周期的な係数を持つ非自励BZ反応系の引き込み現象の証明を進めている。MawhinによるCoincidence degree theoryを用いて周期解の存在定理を確立した。次段階として、安定性と写像度の値を関連けるため位相縮約法の適用を検討している。 3. 数理生物学の分野において長い期間にわたり解析的な証明が与えられていなかったNowak & Bangham(1995)による免疫応答モデルのHopf分岐存在問題に対して、その証明を完成した。この内容については論文にまとめ投稿し、目下審査中である。 4. 時間遅れとアリー効果を持つ非自励多種競争系の周期解め存在と安定性に関して得られた結果についてAIMS国際会議で発表した。さらに関連するモデルめ結果と合わせてプロシーディングとして投稿し、現在審査中である。
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