2009 Fiscal Year Annual Research Report
時間遅れを持つ力学系の周期解の存在と安定性に関する研究
Project/Area Number |
20740097
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Research Institution | Numazu College of Technology |
Principal Investigator |
江上 親宏 Numazu College of Technology, 電子制御工学科, 助教 (90413781)
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Keywords | 数理生物学 / Lotka-Volterra型方程式系 / Hopf分岐 / 写像度 / HIV力学系 / 周期解 / 時間遅れ |
Research Abstract |
本研究では、時間遅れを持つ力学系の周期解の存在や安定性を調べるため、写像度理論や分岐理論を組み合わせた新しい解析手法の開発を目的としている。具体的にはLotka-Volterra型方程式系、Belousov-Zhabotinsky(BZ)反応系、HIV力学モデルが研究対象である。 1. Nowak&Bangham(1995)によって構築された免疫応答モデルのHopf分岐存在問題に対して、その証明を完成した。ウイルスの基本再生産数はモデルの中の6つのパラメータによって表現されるが、このいずれのパラメータを変化させてもHopf分岐が起こり非自明な周期解が現れることを示した。証明の手法はこれまでに前例のないもので、他の生物モデルにも広く有効である。本研究成果は国際学会Equadiff12にて発表した。 2. 時間遅れとアリー効果を持つ多種競争系に対して、系のパーマネンスと正値平衡解の大域的安定性に関する定理を与えた。 3. 周期的な係数を持つ非自励BZ反応系の引き込み現象の解析を進めている。これまでに係数が定数である場合の自励系に対するHopf分岐の存在と分岐の方向性に関する定理が得られた。また、Coincidence degree theoryを用いて非自励系に対する周期解存在定理を確立した。次段階として、解の安定性と写像度の値を関連付けるため位相縮約法による位相方程式を導出し、この解析を進めている。 4. 時間遅れを持つvan der Pol型N結合振動子系のLimit cycleの存在問題に対して、S1-degree theoryを用いたHopf分岐解析の手法の適用を進めている。
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